収入と暮らしに関する将来予測と幸福度・メンタルヘルスの関係:消費者態度指数の質問を使った検証

執筆者 関沢 洋一 (上席研究員)/後藤 康雄 (上席研究員)/宗 未来 (慶應義塾大学)/野口 玲美 (千葉大学)/清水 栄司 (千葉大学)
発行日/NO. 2016年9月  16-J-052
研究プロジェクト 人的資本という観点から見たメンタルヘルスについての研究 2
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概要

将来の収入が増えると予測する人々は幸福度が高くなるなど、暮らしや収入に関する将来予測が、現在の幸福感やメンタルヘルスに影響を及ぼすことが複数の経済学の研究で主張されている。一方、逆の因果関係として、不安や憂うつなどメンタルヘルスと関係を有する感情が悲観的な将来見通しに結びつくなど、幸福感やメンタルヘルスが将来見通しに影響を及ぼすことを示唆する研究が心理学などで登場している。本研究では、内閣府が作成する消費者態度指数に使われる4つの質問(その中には、半年後の暮らしや収入の見通しに関するものが含まれる)を使って上記の関係について検証した。

2つの介入研究と1つの観察研究のデータを利用して、消費者態度指数等と、幸福度やメンタルヘルスに関連する指標(抑うつ度、不安度)との相関関係について、パネルデータを活用した固定効果モデルによって検証したところ、消費者態度指数等が改善(悪化)するほどメンタルヘルスは改善(悪化)し、幸福度が高まる(低下する)ことが確認された。2つの介入研究において、メンタルヘルスの改善を目指す介入が消費者態度指数等の改善につながるかという因果関係を検証したところ、うつ症状の軽減を目的とした諸介入(認知行動療法やマインドフルネス)を行った群は、統制群(何もしない群)と比べて消費者態度指数等を向上させる効果を有しなかった。