企業統治制度の変容と経営者の交代

執筆者 齋藤 卓爾 (慶應義塾大学)/宮島 英昭 (ファカルティフェロー)/小川 亮 (早稲田大学)
発行日/NO. 2016年3月  16-J-039
研究プロジェクト 企業統治分析のフロンティア:リスクテイクと企業統治
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概要

本論文の課題は1990年代以降の日本企業の統治制度の変化が経営者交代に及ぼした影響を解明する点にある。1990年から2013年について、東証1部上場企業からランダムに抽出した500社を対象として経営者交代の決定要因を分析した。分析の結果、経営者交代が企業業績に感応する点では変化はないものの、経営者交代が感応する企業業績指標がROAからROEならびに株価収益率に移りつつあることが明らかとなった。また、メインバンクが強い影響力を及ぼしていると考えられ企業では経営者交代のROAに対する感応度が高い一方で、海外機関投資家の持株比率が高い企業ではROEに対する感応度が高かった。これらの結果は、90年代後半からのメインバンクの活動領域の縮小、海外機関投資家の増加と整合的である。2000年代中盤以降に増加した社外取締役が経営者交代に与える影響はその人数により異なっていた。社外取締役の人数が1人か2人の企業では経営者交代の業績感応度が低い一方で、3人以上いる企業では経営者交代の業績感応度は高い傾向が見られた。