民間金融機関および政府系金融機関の活動に対する中小企業の評価―企業年齢による差異はあるか?―

執筆者 家森 信善 (ファカルティフェロー)
発行日/NO. 2016年3月  16-J-021
研究プロジェクト 企業金融・企業行動ダイナミクス研究会
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概要

民間および公的金融機関は、企業のライフステージに応じて適切な金融支援を行っていくことが必要だとの認識は広く共有されるようになっている。本稿では、2013年に実施したアンケート調査の回答結果(4635社の回答)を使って、企業年齢により金融機関に対する評価の違いを分析した。

高齢企業と比べると、若い企業では、メインバンクが「ない」との回答が多かった。メインバンクから借り入れている場合も、若い企業では、その借り入れに対する信用保証のカバー率が高い。また、メインバンク側に企業に関する定性情報が少ない初期の段階では、日本公庫の融資が呼び水的に作用することがあるのに対して、すでに銀行との関係が確立している高齢企業では、そうした呼び水的な効果は乏しいと評価できる結果が得られた。質問項目によっては、年齢に関して明確な傾向がないものも多く、企業年齢に従って企業の金融ニーズは単純に変化するものではないという点にも留意が必要である。