社会保険料負担は企業の投資を抑制したのか? -個票データを用いた設備・研究開発・対外直接投資の実証分析-

執筆者 小林 庸平 (ファカルティフェロー)/中田 大悟 (リサーチアソシエイト)
発行日/NO. 2016年2月  16-J-007
研究プロジェクト 経済活力と生活の質を向上させる社会保障制度
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概要

社会保険料負担の増加は、日本国内の投資を阻害し、空洞化を促進しているのではないかとの指摘があるが、それを実証的に分析した研究は、国内外を問わず非常に乏しい。本稿では、社会保険料データと企業データをマッチングさせた個票データを用いて、企業の社会保険料負担が、設備・研究開発・対外直接投資にどのような影響を与えているかを実証的に分析した。分析の結果、社会保険料負担の増加は、(1)企業の国内投資を一定程度抑制させた可能性がある、(2)研究開発投資には大きな影響は与えていない、(3)海外進出を行うかどうかの意思決定には影響を与えていないものの、既に海外進出を行っている企業の対外直接投資を増加させた可能性がある、といった結果が得られた。