日本におけるイノベーションと雇用成長:『企業活動基本調査』個票による分析

執筆者 金 榮愨  (専修大学) /池内 健太  (科学技術・学術政策研究所) /権 赫旭  (ファカルティフェロー) /深尾 京司  (ファカルティフェロー)
発行日/NO. 2016年1月  16-J-002
研究プロジェクト 東アジア産業生産性
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概要

本論文では『企業活動基本調査』の個票データを用いて、1991年から2010年までの日本企業におけるイノベーション、過剰労働と雇用成長の関係を実証的に分析した。主な分析結果は以下の通りである。(1) 日本では過剰労働を抱えている企業が比較的多い。(2) 過剰労働の程度は大企業ほど深刻である。(3) 企業は雇用を瞬時に調整せず、今期労働が過剰になると徐々に雇用を減らす。これは雇用の調整費用に関する理論モデルとも整合的である。(4) 他の条件が同じなら、研究開発(R&D)を活発に行う企業ほど雇用を増やす傾向がある。(5) 企業のTFPの伸びと雇用成長の間には負の相関が観測されるが、R&DによるTFPの伸びは雇用に正の影響を与える。(6) 製造業ではR&Dで代理されるプロダクト・イノベーションが、非製造業では設備投資で代理されるプロセス・イノベーションが雇用成長に正の影響を与える。