執筆者 | 伊藤 隆敏 (プログラムディレクター) /鯉渕 賢 (中央大学) /佐藤 清隆 (横浜国立大学) /清水 順子 (学習院大学) |
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発行日/NO. | 2015年10月 15-J-054 |
研究プロジェクト | 為替レートのパススルーに関する研究 |
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概要
本論文では、1万8932社の海外現地法人に対して2014年11月に調査票を送付して実施した「日本企業の海外現地法人に対するインボイス通貨選択アンケート調査」の回答結果をまとめたものである。主な結果は以下の通りである。第1に、日本企業の海外現地法人は主体的・裁量的にインボイス通貨選択・為替リスク管理を行っている割合が約6割と高く、その傾向は前回調査と変わっていない。第2に、前回調査以上に取り扱い通貨のドル偏重が高まっており、中国元をはじめとするアジア通貨の利用はさほど増えていない。第3に、円高時、円安時における為替変動が価格・数量に与える影響は異なっている。特に2012年末以降の円安局面においては、半数を越える企業が日本から調達する価格および数量に変更がなかったと回答している。第4に、日本企業の海外現地法人は、近年、日本との取引において円建て比率を低下させていることが確認された。人民元の取引が増えているのは中国所在現地法人の貿易においてのみであり、他のアジア諸国に所在する日系現地法人は人民元を使用していないことが確認された。