外国人旅行客と宿泊業の生産性

執筆者 森川 正之  (理事・副所長)
発行日/NO. 2015年8月  15-J-049
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概要

生産と消費の同時性という特徴を持つサービス産業の生産性を考える上で、稼働率は非常に重要な指標である。本稿は、日本への外国人旅行者が宿泊業の稼働率に及ぼす効果を定量的に分析する。分析結果によれば、(1)為替レートの円安化が最近の外国人旅行客の増加に大きく寄与しており、(2)外国人宿泊者数の増加は需要平準化効果を通じて宿泊業の稼働率に対して大きな正の効果を持っている。(3)近年、この需要平準化効果だけで宿泊業の計測される全要素生産性(TFP)を1%ポイント程度高める効果を持った可能性がある。外国人観光客の拡大は、外需拡大という需要面だけでなく、サービス産業の生産性向上という観点からも有用な政策であることを示唆している。

(本稿の英語版ディスカッション・ペーパー:16-E-064