組織改革は生産性に影響するか?

執筆者 川上 淳之  (帝京大学) /淺羽 茂  (早稲田大学)
発行日/NO. 2015年8月  15-J-048
研究プロジェクト 日本における無形資産の研究:国際比較及び公的部門の計測を中心として
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概要

本稿では、上場企業に対して実施したインタビュー調査から組織改革を行った企業を特定し、傾向スコアマッチングを行って類似の比較対象企業を選び、それぞれ組織改革時の生産性とn年後(n=1~5)の生産性の変化について、組織改革企業・非改革企業の間で生産性の変化に差があるかどうかを分析した。

一般的に組織改革を行った企業全体についてみると、3期目において組織改革の効果が確認され、業績が悪化していない状況で組織改革を行っている企業では2期目から4期目にかけて生産性の上昇がみられた。一方で、権限委譲や従業員の提案を伴う組織改革についてはその効果が全体の推計よりも高かった。これは、組織改革が調整期間を伴うために改革直後には効果が表れないことを示しており、組織成員を巻き込んだ改革の方が成果は上がることを示唆している。