国際通商とプライベート・スタンダード-WTO・SPS委員会での議論とWTO外の対応-

執筆者 内記 香子  (大阪大学)
発行日/NO. 2015年7月  15-J-046
研究プロジェクト 貿易・直接投資と環境・エネルギーに関する研究
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概要

途上国の生産者をサポートするフェアトレード認証、森林保護のFSC(Forest Stewardship Council)認証、あるいは生態系配慮等の一定基準を充たした農園に関するレインフォレスト・アライアンス認証など良く知られた制度をはじめ、今、市場には数多くの私的で商業的な「プライベート・スタンダード(Private and Commercial Standards)」が存在している。プライベート・スタンダードは、社会的・環境保護的・倫理的な目的を有しており、国家による法がないところや法を超えた部分を規律するという意味で、公的な機能を持つと評価できる。その一方で、そうしたプライベート・スタンダードの増加・拡散によって、スタンダードへの信頼性が揺らぎ、プライベート・ガバナンスに対する正当性の要求が高まっているという現状もある。本稿は、プライベート・ガバナンスへの懸念や問題点に対して、国際社会でどのような対応がなされているか、検討するものである。具体的には、WTOではどのような議論があり、またWTO外ではいかなる対応がなされているのかをみながら、より良いプライベート・ガバナンスをめざす多様な試みについて考察した。