業況見通しの不確実性と設備投資

執筆者 森川 正之 (理事・副所長)
発行日/NO. 2015年7月  15-J-040
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概要

本稿は、日本企業を対象としたサーベイ・データに基づき、業況や設備過不足の先行き不確実性の時系列的な動向、これらの不確実性が設備投資計画に与える影響についての観察事実を提示する。結果の要点は以下の通りである。第1に、リーマン・ショックの際に不確実性の大幅な拡大が見られたのに対して、2014年の消費税率引き上げは不確実性を増大させていなかった。第2に、製造業、中小企業は業況や設備過不足の先行き不確実性が非製造業、大企業に比べて高い。第3、不確実性が設備投資計画に対して負の影響を持っていることが示唆される。以上の結果は、安定的なマクロ経済運営、政策の実行に際して企業の予測可能性を低下させないことの重要性を示唆している。

本稿の英語版ディスカッション・ペーパー:16-E-014