執筆者 | 伊藤 公二 (コンサルティングフェロー) /平野 大昌 (同志社大学) /行本 雅 (京都大学経済研究所) |
---|---|
発行日/NO. | 2015年7月 15-J-037 |
研究プロジェクト | 我が国の貿易構造の変化と企業の国際化活動に関する調査研究 |
ダウンロード/関連リンク |
概要
本稿では、2008年から2010年の製造業の輸出動向について、経済産業省『工業統計調査』の事業所データを用いて分析を行った。
2008年と2010年の輸出実績により、事業所を(1)非輸出事業所、(2)輸出開始事業所、(3)輸出撤退事業所、(4)輸出継続事業所に分類し、輸出額の変化を輸出開始事業所・撤退事業所による部分(extensive margin)と輸出継続事業所による輸出減少(intensive margin)に分解した。
2008年から2010年にかけて、製造業の事業所全体の輸出額は14.41%減少した。本稿の分析により、(i) intensive marginはマイナス16.2ポイント、extensive marginはプラス1.78ポイント貢献しており、輸出継続事業所による輸出額減少の影響がドミナントであること、(ii) 事業所数では輸出継続事業所数6560に対して輸出撤退事業所数が1472と輸出撤退事業所が一定の割合を占めていること等が判明した。
また、輸出継続・撤退事業所を対象に、2001年から2010年のパネルデータを用いて輸出確率を推計した。推計の結果、輸出を行うことのできる比較的パフォーマンスの良い事業所の間でも、外的要因だけでなく、生産性、規模、資本・労働比率といった事業所の内的要因が輸出確率に影響を及ぼしていることが明らかになった。