主観的な所得の予想を使った恒常所得仮説の検証―中国のマイクロデータを使って―

執筆者 殷 婷 (研究員) /暮石 渉 (国立社会保障人口問題研究所) /若林 緑 (東北大学)
発行日/NO. 2015年4月  15-J-016
研究プロジェクト 少子高齢化における家庭および家庭を取り巻く社会に関する経済分析
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概要

本研究では、大阪大学の「くらしの好みと満足度についてのアンケート」の中国都市パネル調査における主観的な所得の予想に関する質問項目を利用し、予期される所得の変化に対して消費がどの程度反応するのかという過剰反応の検証を行った。操作変数法を用いた分析の結果、2009年から2010年、2010年から2011年、そして2009年から2011年のどの期間の消費の成長率も、実際の所得のうちそれぞれの期間の予想される所得の成長率で説明される部分からは影響を受けていなかった。このことは、予期される所得の成長は消費の成長に影響を与えないという恒常所得仮説における直交条件が成り立っていることを示唆している。