執筆者 |
宇南山 卓 (コンサルティングフェロー) |
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発行日/NO. | 2015年4月 15-J-013 |
研究プロジェクト | 日本経済の課題と経済政策Part3-経済主体間の非対称性- |
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概要
本稿では、2000年代に入り住宅投資が減少トレンドを示している原因について分析した。住宅投資の構成は、既存住宅の更新分と住宅数の純増分とに分解でき、さらに住宅数の純増は世帯数の増加と住宅の稼働率の変化に分解できる。住宅・土地統計調査を用いることで、これら住宅投資の構成3要素がすべて、1990年代末以降に住宅投資を低下させる方向に変化したことを示した。住宅の更新投資は非木造住宅・集合住宅のシェアが増加したことにより減少し、世帯数の伸びは核家族化・未婚化が止まりつつあることで鈍化し、住宅の稼働率はバブル崩壊後の住宅投資の利回り上昇に対する裁定が終了したことで下げ止まった。住宅投資の落ち込みがこれらによって説明できるということは、1997年の消費税引き上げが住宅投資の長期低迷の原因でなかったことが示唆される。