製品価格・品質と生産性:輸出の決定要因の再検討

執筆者 松浦 寿幸  (慶應義塾大学産業研究所)
発行日/NO. 2015年3月  15-J-010
研究プロジェクト 日本企業の競争力:生産性変動の原因と影響
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概要

近年、企業の海外市場への進出が拡大しており、とりわけ中小企業では輸出による海外市場アクセスが重要視されている。以前から企業の輸出の意思決定において生産性が重要な決定要因の1つであることが指摘されてきたが、近年の研究では、生産性の構成要素、あるいは生産性以外の要因の重要性が指摘されている。本研究では、生産性の構成要素の指標として製品品質の違いに注目して分析を行う。具体的には、経済産業省「工業統計調査」の調査票情報を使用し、Kandelwal (2010)、ならびにSmeets et al. (2014) に倣ってBerryタイプの需要関数を計測し、工場・品目レベルの製品品質指標を構築し、輸出行動との関係を分析するものである。分析の結果、輸出事業所が高質な財を生産していること、輸出の意思決定においては、多少市場シェアが小さくとも製品品質が高い事業所も輸出を行っていることが明らかとなった。