執筆者 | 吉野 直行 (ファカルティフェロー) |
---|---|
発行日/NO. | 2015年3月 15-P-003 |
研究プロジェクト | 中小企業の審査とアジアにおけるCRD中小企業データベースの構築による中小企業・成長セクターへの資金提供 |
ダウンロード/関連リンク |
概要
本論文では、CRDデータに代表される中小企業データベースの構築とその分析、さらに、データベースによる中小企業の金融教育としての役割について説明する。次に、「目利き」能力の育成のために、中小企業データベースと現場の融資担当者の長年の経験による変数との対応の必要性について言及する。業種によるデータの特徴、さらに、マクロ変数の変化による貸し倒れリスクの増大など、ミクロデータによる分析とマクロ変数との連関について、さらなる進展が望まれることを説明する。
次に、(1)Micro Creditが中心となっているアジアにおける中小企業の資金貸出に関して、専門の中小企業金融機関の設立、政府系金融機関と民間金融機関とのあり方、(2)低利で長期の資金の提供を行える政府系金融機関の原資をどのように集めるか、(3)政府系金融機関の審査能力と民間金融機関の審査能力の違い、政府系と民間金融機関の競合/補完について、分析する。
さらに、ドイツ型(KfW型)の民間金融機関を通じる協調融資の方法が、官と民の競合関係を減らす1つの方策であることを述べる。
最後に、起業や地域へのリスクマネーの供給方策として、「ふるさと投資ファンド」に関して、地方のベンチャー企業、中小企業への資金提供の方法と、これまでの事例について解説し、その将来性についてまとめる。