中小企業政策情報の中小企業への認知普及―小規模企業を対象にした考察―

執筆者 安田 武彦  (東洋大学)
発行日/NO. 2014年11月  14-J-049
研究プロジェクト 通商産業政策・経済産業政策の主要課題の史的研究
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概要

我が国において中小企業に対してはきめ細かな支援政策が講じられている。本稿はこうした中小企業支援施策の情報がどの程度、中小企業、特に昨年の中小企業基本法改正によって施策の重点化の対象となった小規模企業に認知されているのかについて独自の調査で概観するとともに、認知度を決定する要因を分析するものである。

調査の結果からは、2000年代の主要中小企業施策について、総じて施策認知度が低いこと、施策認知度は企業の規模、経営形態といった企業属性の違いによって異なるとともに、施策の性質によっても認知度が異なることが明らかになった。

また、施策の浸透度の低さの原因を、(1)施策を知る必要性がないと企業側が評価していることによるもの、(2)施策を理解する時間がないことのいずれかに分けて分析すると、後者の影響が大きいことが分かった。

以上の結果からは施策の中小企業への認知のために、従来のような広報パンフレット冊数の増加のみならず、施策の伝え方についてどのような経路をとれば、中小企業、とりわけ小規模企業に手軽に政策情報を入手できるようになるのかという施策注入の経路の検討も重要であるということがわかる。