コメのSBS制度からみた輸入の可能性

執筆者 慶田 昌之  (立正大学)
発行日/NO. 2014年8月  14-J-043
研究プロジェクト 日本経済の課題と経済政策Part3-経済主体間の非対称性-
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概要

本稿では、コメの輸入に関してSBS制度の現状をみることで、もしコメの関税を引き下げた場合に輸入量がどのように影響を受けるかを考察した。SBS制度のもとでは、2010年度と2013年度に全量が落札されないという事態が発生している。この理由は、国内市場の価格下落が主要因として考えられ、2010年度に関しては外国市場におけるコメ価格の上昇も影響を与えていると考えられる。SBS米の不落札は、国内市場のコメの価格の下落は輸入量を大幅に減少させることを意味している。

一方で、データからは、国内の多様化したコメのブランドのなかでも、ボリュームゾーンの品質に相当するコメの輸入が多いことが示される。すなわち、日本で好まれるコメが輸入されていて、その供給量は価格に応じて決まっていると考えられる。以上のことから、関税の引き下げは短期的には影響が限定的であるが、長期的にはコメ生産の生産性を引き上げる政策の必要性が示唆される。