対日直接投資の動向と特徴

執筆者 田中 清泰  (日本貿易振興機構アジア経済研究所)
発行日/NO. 2014年8月  14-P-021
研究プロジェクト 日本企業の競争力:生産性変動の原因と影響
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概要

海外から日本への直接投資(対日直接投資)は日本経済を支える柱として期待が高まっている。しかし日本経済における外資企業の規模や影響に関する実証分析は十分に蓄積されておらず、外資企業のパネルデータの未整備が1つの理由である。本稿は経済産業省『外資系企業動向調査』の個票データなどを丁寧に修正して、1995-2011年における全産業の外資企業データを作成した。修正データは総務省『事業所・企業統計調査』や『経済センサス』などと比較して整合性を検討した。1995年から2007年にかけて外資企業の規模は着実に拡大しており、卸小売業や情報通信業、その他サービス産業などにおいて外資進出が活発化している。また、近年は韓国や中国、台湾などの東アジア諸国からも対日投資が増えてきている。外資の進出地域は本社所在地別に見ると東京一極集中だが、事業所の所在地別に見ると東京の集中度は製造業で特に低くなる。2002年以降の新規外資企業の進出形態を見ると、共同新規設立や合併買収に比べて単独新規設立の件数が最も大きい。