執筆者 |
前岡 健一郎 (防衛省) /神田 佑亮 (京都大学) /中野 剛志 (コンサルティングフェロー) /久米 功一 (リクルートワークス研究所) /藤井 聡 (ファカルティフェロー) |
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発行日/NO. | 2014年5月 14-J-027 |
研究プロジェクト | 強靱な経済(resilient economy)の構築のための基礎的研究 |
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概要
現在、世界はサイバー攻撃、エネルギー危機、食糧危機、パンデミックやテロ、戦争など数多くのリスクに晒されている。世界経済フォーラムの報告書によると、中でも「システミックな金融危機」は世界に与える影響が最も大きいリスクとされており、発生確率も上昇傾向にある。そこで本研究では、リーマンショックに端を発した世界金融危機に対して、どのような国民経済が早期回復を果たすことができたか、すなわち、強くしなやかな、高い強靭性を有した国民経済であったかを探索的に分析し、我が国の経済を外生的ショックから回復の早い経済にするための知見を得ることを目的とした。分析の結果から、GDPのしなやかな回復に対して「公共投資の拡大」が有意に影響を与えていることが示された。一方、失業率の回復に対しては、製造業の発展や公共投資の拡大が有効であることが示唆された。このことから、GDPや失業率のしなやかな回復を果たすためには、公共投資の拡大に基づく財政出動は有効なマクロ経済政策であると考えられる。