人的資本・人材改革-鳥瞰図的視点-

執筆者 鶴 光太郎  (ファカルティフェロー)
発行日/NO. 2014年3月  14-P-005
研究プロジェクト 労働市場制度改革
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概要

急速な高齢化の進行、グローバル競争の強まりなど内外の厳しい環境の下で資源小国である日本が経済活力を維持・強化し、成長力を高めていくためには、女性、若者・高齢者を問わず人的資源の活用が重要である。本稿では人的資本・人材力に関して統合的・包括的な視点から検討するため、ライフ・サイクル全体を通じた人的資本・人材力に焦点を当てる。就業前の教育については産業界・企業が求める人材像(グローバル人材など)を明確化し、そうした人材を育成するための教育のあり方を検討すべきだ。また、就業以降の人的資本・人材改革においては、日本的雇用システムが変容する中で、企業と従業員双方が長期的な能力開発にコミットできるような信頼関係、「未来が開かれた働き方」を構築していく必要がある。さらに、高齢者の人的資本・人材力が企業や地域における活動を通じて若い世代に受け継がれて、「還元」されるための環境整備が求められている。今後、限定正社員の拡大が予想される中で、スキル形成のあり方が重要な課題となろう。