労働契約法改正に対する労働者の評価・反応-「多様化する正規・非正規労働者の就業行動と意識に関する調査」の調査結果より

執筆者 戸田 淳仁  (リクルートワークス研究所) /鶴 光太郎  (ファカルティフェロー)
発行日/NO. 2014年3月  14-P-004
研究プロジェクト 労働市場制度改革
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概要

労働者のアンケート調査をもとに、非正社員や有期雇用者の実態を把握するとともに、2013年の労働契約法改正に対して、労働者がどのように評価し、対応するかといった点を検討した。労働契約法改正の個々の内容について、賛成が反対よりも上回っているが、半数は分からないと回答した。雇用契約期間について分からないと回答する者などが存在することを鑑みると、労働者が契約内容についてきちんと理解することが必要であり、政策的な取り組みが必要であろう。また、労働契約法の改正については、5年以上の無期転換ルールについては賛成が多いものの、有期雇用者の中には5年を待たず雇止めされると考える者や、無期転換を申し出ない者が少なからず存在することが分かった。そのため契約期間についての考え方は個人によって多様であり、その多様性に即して制度・ルールを検討していく必要がある。また雇止め制限法理の制定や不合理な労働条件の禁止の明示については、あまり効果が期待されていないという結果になった。