執筆者 |
本田 由紀 (東京大学) |
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発行日/NO. | 2014年3月 14-J-014 |
研究プロジェクト | 労働市場制度改革 |
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概要
本稿は、仕事をめぐる「強み」の自認に焦点を当てる。(1)「強み」の内容、(2)「強み」の形成機会、(3)「強み」を自認する層の属性、(4)「強み」自認と他の仕事意識との関連、という4つのRQに対し、労働政策研究・研修機構が2011年に実施した「30代ワークスタイル調査」を用いて、男女差に留意しつつ検討を加えた。主な知見は以下である。(1) 自認された「強み」は「スキル・資格」と「対人能力・行動様式」に大別される。(2)「強み」は職場で形成される場合が多いが「スキル・資格」は特に女性の場合に教育機関などでも形成されやすい。(3)「対人能力・行動様式」は男性では長時間労働者や管理・事務・サービス・販売の職種で、女性では低収入層で自認率が高いのに対し、「スキル・資格」は男女とも専門・技術職で自認率が高く、特に女性では高等教育経験者や高収入層で自認率が高い。(4)「対人能力・行動様式」は男性では「栄達」志向、女性では「フリーター」志向と関連が強く、「スキル・資格」は「専門・貢献」志向や「順調」意識と関連が強い。以上より、特に女性のキャリア形成にとって、「スキル・資格」という「強み」の自認が有効であることが示唆された。