社会資本の生産力効果の再検討

執筆者 宮川 努  (ファカルティフェロー) /川崎 一泰  (東洋大学) /枝村 一磨  (NISTEP)
発行日/NO. 2013年11月  13-J-071
研究プロジェクト 地域別生産データベースの構築と東日本大震災後の経済構造変化
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概要

新たに作成された地域別・産業別生産性データベース(R-JIPデータベース)と社会資本のデータを組み合わせて、社会資本の生産力効果を再検証した。我々の推計では、バブル崩壊後に全産業にわたって生産力効果が見られる。これはバブル崩壊後財政が悪化し、社会資本投資が抑制的に運営される中で、効率的な投資配分が行われてきたことを示唆している。推計結果から計測される社会資本の収益率は、総じて民間資本より高いが、これは非製造業において顕著である。また民間資本の収益率は地域差がほとんどないが、社会資本の収益率やトービンのQは地域差が大きく、都市部以外の地域に社会資本が重点的に配分されたことを示している。社会資本投資から民間投資へのクラウド・イン効果は確認されたが、社会資本投資で促進される産業集積に伴う波及効果については、民間投資への影響が見られなかった。