震災時ガソリン供給情報の不足と殺到行動

執筆者 奥村 誠  (ファカルティフェロー)
発行日/NO. 2013年10月  13-P-020
研究プロジェクト 東日本大震災に学ぶ頑健な地域経済の構築に関する研究
ダウンロード/関連リンク

概要

本稿では、東日本大震災後のガソリンの供給不足下での消費者のガソリン購入行動を取り上げる。このガソリンの供給不足は被災地を越えて東日本全体で発生し、それに対する消費者の行動は地域ごとに異なる上、道路や宅地のように破損が形として残るものではないため、個別の地域ごとの具体的な状況を把握、分析することは困難である。ここでは仙台市内などで見られたガソリンスタンドへの自動車の殺到問題を取り上げ、その発生原因を供給情報の不足という観点から考察するとともに、今後の災害において同様の問題の発生を防ぐ方法の提案を行う。具体的には、当日購入するか翌日以降購入するかという消費者の選択行動をモデル化して、平常時の抑制状態とは別に、殺到状態を意味する安定均衡解が存在することを示し、目撃に基づく情報の偏りと組み合わさって、殺到状態が発生するメカニズムを考察する。さらに、購入量制限や整理券配布などの施策がもたらす影響を考察する。