震災前後における宮城県内の地域ポテンシャルおよび労働分布の変化

執筆者 猪原 龍介  (亜細亜大学) /中村 良平  (ファカルティフェロー) /森田 学  (青森中央学院大学)
発行日/NO. 2013年7月  13-J-053
研究プロジェクト 持続可能な地域づくり:新たな産業集積と機能の分担
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概要

本研究では、猪原・森田・中村(2012)の分析手法を応用し、宮城県内35市町村から構成される空間経済学のモデルを構築し、震災前後の地域ポテンシャルおよび就業者分布の変化について分析を行う。分析手順としては、まず現実の就業者分布を再現するためにキャリブレーションを行い、代替の弾力性や距離抵抗といった主要パラメータを求める。次に、東日本大震災が就業者や土地に与えた被害をモデルに反映させることで、震災が各市町村の地域ポテンシャルに与えた影響を求める。最後に、地域ポテンシャルの変化を受けた宮城県内の就業者分布の変化について分析を行う。その結果、(1)被災により宮城県内の地域ポテンシャルは平均で10%、被災地では20%程度低下すること、(2)多くの被災地で労働者数が減少する中で、仙台市ではその中心性を反映して労働力人口が増加すること、(3)復興に伴い労働者が避難先の内陸地域から沿岸の被災地域に回帰することなどが示された。