【WTOパネル・上級委員会報告書解説⑤】米国-クローブ入りタバコ規制事件(インドネシア)(DS406)-TBT協定2.1条とGATT3条4項の関係を中心に-

執筆者 内記 香子  (大阪大学)
発行日/NO. 2013年6月  13-P-013
研究プロジェクト 現代国際通商システムの総合的研究
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概要

WTO協定附属書1に含まれるTBT協定(貿易の技術的障害に関する協定;Agreement on Technical Barriers to Trade)については、これまでEC-アスベスト規制事件およびEC-鰯表示事件の上級委員会の判断があったが、TBT協定上の強制規格に関するコアな義務とされてきた2.1条および2.2条の解釈適用はなかった。とりわけ本件は、2.1条の解釈について大きな先例性をもつものとなった。無差別の義務を定める2.1条については、同様の義務内容を定めており判例の蓄積の多いGATT3条と類似の解釈アプローチがとられるのかどうかが学説上、議論されてきた。本稿では、このTBT協定2.1条の、GATT3条との関係を主として議論することとする。