執筆者 |
寳多 康弘 (南山大学) |
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発行日/NO. | 2013年6月 13-J-042 |
研究プロジェクト | 大震災後の環境・エネルギー・資源戦略に関わる経済分析 |
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概要
本研究の目的は、産業(セクター)ごとに異なる環境規制が課せられている開放経済において、排出量取引市場を創設したときの効果を明らかにすることである。まず国・地域で環境規制の水準が産業・業種間で異なる現状を概観する。その後、排出量取引市場の創設の影響を一般均衡モデルで分析する。小国モデルの分析では、輸入関税が存在すると、排出量取引の導入によって、導入前のセクター別規制と輸入関税率の大小関係次第では、経済厚生が悪化するかもしれないことを示す。厚生が悪化・改善する条件を導出して解釈する。また、2国の大国モデルの分析では、片方の国はセクター別の環境規制、もう一方の国は一律の環境規制を行っている下で、国際的な排出量取引市場の創設の効果を考察している。国際排出量取引によって、妥当な条件の下、セクター別規制を行っている国の厚生は改善するかどうか不明であるが、一律の規制を行っている国の厚生は改善することを明らかにする。