執筆者 |
浦坂 純子 (同志社大学) /西村 和雄 (ファカルティフェロー) /平田 純一 (立命館アジア太平洋大学) /八木 匡 (同志社大学) |
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発行日/NO. | 2013年3月 13-J-019 |
研究プロジェクト | 活力ある日本経済社会の構築のための基礎的研究 |
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概要
本稿では、各種入試制度を整理した上で、労働市場における相対的パフォーマンスを所得によって測定し、学力考査を課す入試制度と課さない入試制度とを比較することにより、1980年代半ばから強力に進められた大学入試制度の多様化の帰結を評価する。
本稿の分析のために、Gooリサーチ社を通じてインターネット調査「学校教育と働き方に関するアンケート」を2011年2月に実施した。
分析の結果、学力考査を課す入試制度による入学者の平均所得は、学力考査を課さない入試制度による入学者の平均所得よりも、統計的に有意に高くなっていることが示された。
また、就業者全体のほうが、男性就業者よりも入試で学力考査が課されたか否かによる平均所得の格差が大きい傾向にあり、理系における格差は文系における格差よりも大きくなっていることが示されている。
大学入試制度の多様化は、さまざまな方向から検証がなされるべきであることは論をまたないが、少なくとも学力考査を課さない入試制度で入学した学生は、卒業後も労働市場で高く評価されているとはいいにくい状況がうかがえる。