起業活動に影響を与える要因の国際比較分析

執筆者 高橋 徳行  (ファカルティフェロー) /磯辺 剛彦  (慶應義塾大学) /本庄 裕司  (中央大学) /安田 武彦  (東洋大学) /鈴木 正明  (日本政策金融公庫総合研究所)
発行日/NO. 2013年3月  13-J-015
研究プロジェクト 起業活動に影響を与える要因の国際比較分析
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概要

わが国の起業活動は、他の先進国と比較して低迷しており、企業の少子化は、日本経済に負の影響を持つと考えられる。本稿では、起業「活動」の説明変数として起業「態度」を使ったモデルによって、わが国の特徴を把握し、そこから起業プロセスのどこに働きかけるのが最も効果的な政策につながるのかを検討した。使用したデータは、2001年から2010年にかけてのグローバル・アントレプレナーシップ・モニター(Global Entrepreneurship Monitor: GEM)のデータの個票である。分析の主な結果は、起業態度の違いが起業活動の違いを生み出しているということである。このことから、起業態度への働きかけが有効な政策になりうるとの結論を得た。しかし、起業態度を有するグループにおいては米国並みの起業活動の水準であると言っても、それらのグループは全体のごく一部である。そこで、わが国において圧倒的多数を占める起業態度を持たないグループが起業活動全体に与える影響も無視できないことから、このグループの特徴についても論じる。