JSICサービス産業業種のイノベーション・システム特性分析-テキストマイニングによるイノベーション・ファクター感応度の計測-

執筆者 尾崎 雅彦  (上席研究員)
発行日/NO. 2012年9月  12-J-032
研究プロジェクト 日本における無形資産の研究
ダウンロード/関連リンク

概要

人口減少、世界経済多極化等を背景に潜在成長率の低下が懸念されるわが国経済において、GDPの7割を占めるサービス産業の活性化は重要な課題である。しかし、同産業における(1)データ制約(製造業に比して統計データが未整備であること)および(2)業種分類問題(同一業種分類内に異なるイノベーション・システム特性を持つ事業所が混在していること)が同産業のイノベーション生成要因や生産性向上に係る実証分析を困難としている。本稿 では、業種分類問題に対応するため、F. Malervaが提唱するSSI(セクトラル・システムズ・オブ・イノベーション)の概念に示されたイノベーション・ファクター((1)知識と技術、(2)アクターとネットワーク:アクター間の相互作用および(3)制度:規制等)に対するアクターの感応度をテキストマイニングにより定量的に計測し、その結果からJSIC細分類(4桁分類)業種を8種のセクターに分類(カテゴリー化)することを試みた。また、各セクターのイノベーション・システム特性に基づくイノベーション・ポテンシャルを確認するため、イノベーション促進的イノベーション・ファクターである上述(1)および(2)の感応度とJIPデータベース産出額等パフォーマンス指標との相関関係を分析したところ正の相関があることが確認され、さらにイノベーション抑制的イノベーション・ファクターである(3)の感応度が高い業種を抽出し同様の分析を行ったところ正の相関関係が弱まることが確認された。