執筆者 |
鎌田 康一郎 (日本銀行) /倉知 善行 (日本銀行) |
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発行日/NO. | 2012年6月 12-J-021 |
研究プロジェクト | 経済成長を損なわない財政再建策の検討 |
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概要
本稿では、国債金利の上昇が銀行経営やマクロ経済に及ぼす影響を石川他(2011)による金融マクロ計量モデルを用いて分析した。国債金利が上昇すると、銀行は債券評価損を抱えることになる。また、国債金利の上昇は、金融と実体経済の相乗作用を通じて、経済活動全般に無視しえない影響を及ぼし得る。本稿では、国債金利が1%上昇するケースを想定し、シミュレーションを行った。分析によると、この程度の金利上昇であれば、債券評価損がTier I比率を押し下げる効果は限定的であり、大きく銀行経営を揺るがすことにはならないとの結果が得られた。もっとも、Tier I比率に及ぼす影響は、これまでに蓄積した債券評価益や繰延税金資産の計上など、複数のクッションによって緩和されている。したがって、金利上昇幅が拡大し、クッション効果が効かなくなると、国債金利の金融・実体経済に及ぼす影響は非線形的に大きくなる点に注意が必要である。