無形資産投資における資金制約

執筆者 森川 正之  (理事・副所長)
発行日/NO. 2012年5月  12-J-016
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概要

本稿は、無形資産投資における資金制約について、日本企業のデータを用いて実証的に分析するものである。具体的には、キャッシュフローを説明変数に含む無形固定資産の投資関数を推計し、投資の内部資金に対する感応度とその産業・企業規模・企業年齢による違いを観察する。分析結果によれば、通常の設備投資と比較して、無形資産への投資は内部資金に対する感応度が高く、特に中小企業や企業年齢の若い企業において顕著である。この結果は、無形資産投資の資金調達において金融市場の失敗が存在することを示唆している。また、現実の政策は、研究開発を除いて有形の設備投資に着目した制度が大部分だが、企業税制や中小企業金融の支援措置は無形資産投資を重視する方向に変えていくことが望ましい可能性を示唆している。

※本稿の英語版ディスカッション・ペーパー:12-E-045