中国による補助金供与の特徴と実務的課題―米中間紛争を素材に―

執筆者 川島 富士雄  (名古屋大学)
発行日/NO. 2011年6月  11-J-067
研究プロジェクト WTOに関する総合的研究
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概要

中国による補助金供与をめぐって、米国内の対中相殺関税調査、通商法301条調査、WTO紛争解決といったさまざまな形で、米中間紛争が激化している。本稿では、まず、中国における産業政策全般を取り上げ、その歴史的経緯、担い手および手法上の特徴を紹介する。次に、これらの紛争を分析することによって、中国による補助金供与の特徴を明らかにすると同時に、それらに伴い、いかなるWTO法、特に補助金および相殺措置に関する協定上の争点が提起されているか指摘する。最後に、以上の知見を土台に、わが国の実務上の必要性の観点から、WTOの紛争解決手続の活用、日本の相殺措置関連法制の整備、WTO協定の改正、並びに日中経済連携協定(EPA)および投資協定の交渉の4つの場面に分け、将来の課題を整理・検討する。