中国の都市化はどこまで進んできたのか

執筆者 孟 健軍  (清華大学 産業発展と環境ガバナンス研究センター)
発行日/NO. 2011年6月  11-J-063
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概要

現在、人類史上未曾有の都市化が中国で進行している。2009年には都市化率が46.6%となり、都市化はすでに加速的な発展段階に突入している。今後20数年には少なくとも5億余りの農村人口が都市部に入っていかなければならない。しかし、現状では独特な“戸口制度”があるため、中国の都市化は、かつての先進国および現在の途上国にくらべて非常に複雑な状況下にある。最近、沿海地域の労働力不足および賃金上昇によって、中国ではすでにルイス転換点を迎えたとか、あるいはそれに近づいているなどと論じられることも多い。しかしながら、実際には中国経済発展に伴っても戸口制度は容易には乗り越えられない壁であるのだ。このような大きなジレンマをきちんと認識しないかぎり、到底中国の将来像を理解することはできない。本稿では、中国における都市化過程を考察し、経済成長に伴って新しい政策および制度はどう構築されていくべきかを検証してみる。