地域経済活性化要因の研究

執筆者 尾崎 雅彦  (上席研究員) /中西 穂高  (コンサルティングフェロー)
発行日/NO. 2011年5月  11-P-014
研究プロジェクト 地域活性化要因の研究
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概要

わが国経済は、構造的な変化すなわち少子高齢化、グローバル化、情報化および財政危機への適応途上で成長ポテンシャルを喪失しつつあり、打開策として地方圏における地域経済活性化による成長余力の増大が期待されている。一国の経済成長に寄与する地域経済活性化を実現するためには、各地域の地域特性を考慮し地域に賦存する資源を最大限活用することを促す適切な地域政策の策定・実行が不可欠であろう。60年代以降、わが国の国土・地域政策の基本コンセプトは一貫して国土の均衡ある発展であった。また、地域政策企画立案に含意を与える経済論、財政論或いは組織論などの学術領域での知見は飛躍的な蓄積を見た。それにもかかわらず、これまでの地域政策において地域経済の自立的かつ持続的経済成長は十分に実現され得ていないことから、地域政策の策定・実行プロセスにおいて何らかの隘路が生じている可能性がある。過去の地域政策に関し、以下の指摘が存在する。(1)異なる知見に基づき企画立案された複数の政策目的間に同調性が無い。(2)中央主導の政策は往々にして地域特性に合致していない。(3)域内経済主体間の連携性が十分でないため地域ニーズの変化に対応できていない。本稿では、まず地域政策に関連する用語の確認および主要理論の整理を行い、その上で経済学的ロジックおよび事例を用いて上述指摘における妥当性を示す。さらに、それら指摘に内在する地域政策策定・実行上の問題点を明らかにし、地域経済の自立的かつ持続的経済成長に繋がるこれからの地域政策および地域システム検討のための論点を提示する。