執筆者 |
森川 正之 (副所長) |
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発行日/NO. | 2011年4月 11-J-062 |
研究プロジェクト | サービス産業生産性向上に関する研究 |
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概要
経済成長と環境の両立、エネルギー消費量の抑制が重要な政策課題となっている。こうした中、製造業ではエネルギー効率の改善が進んできたのに対して、サービス産業を中心とした「業務部門」は、「家庭部門」とともにエネルギー消費量の増加が続いており、日本の最終エネルギー消費全体に占めるサービス産業のシェアは約2割になっている。本稿は、サービス事業所のエネルギー効率性について、密度の経済性に着目しつつ、「エネルギー消費統計」の事業所レベルのマイクロデータを用いて分析するものである。分析結果によれば、人口密度が高い地域ほどサービス事業所のエネルギー効率が高く、量的には、産業の違いをコントロールした上で、事業所の立地する市区町村人口密度が2倍だとエネルギー消費効率が12%程度高いという関係がある。サービス経済化が進展する中で都市の集積を阻害するような規制の緩和や都市中心部のインフラ整備、人口密度の低い地域におけるクリーン・エネルギー供給拡大が、環境と成長の両立に寄与する可能性を示唆している。
※本稿の英語版ディスカッション・ペーパー:11-E-058