非正規雇用問題解決のための鳥瞰図-有期雇用改革に向けて-

執筆者 鶴 光太郎  (上席研究員)
発行日/NO. 2011年4月  11-J-049
研究プロジェクト 労働市場制度改革
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概要

非正規雇用問題といえば、派遣労働が取り上げられることが多かったが、その本質は有期雇用問題である。雇用の不安定、待遇格差、雇用の質低下といった問題に対処するためには、企業が有期雇用増大による生産性への悪影響を考慮し、上記の問題に対して真摯に対応していくと同時に、そうした取り組みをサポートする環境整備に向けた有期雇用改革が求められている。具体的には、契約終了手当・金銭解決導入等の雇用不安定への補償や「期間比例の原則」への配慮などによる処遇格差への縮小を目指すべきである。また、有期雇用、無期雇用、両サイドで多様な雇用形態を創出し、連続的に繋がるような仕組みを構築することが必要だ。さらに、所得再分配政策の観点から、低所得者に対する給付付き税額控除の導入なども重要である。