中国にとって適切なポリシーミックス

本論文は、経済危機以降における中国にとって適切なポリシーミックスを論じたものである。よく知られているように、中国の場合、輸出主導型の成長戦略を用いて過去30年間にわたり目覚しい経済成長率を実現してきた。この戦略を実行するため、中国当局は自国通貨と米ドルを連動させるとともに、一般労働者や中小企業を犠牲にする形で大企業や富裕層を優遇してきた。しかしながら、このような戦略はもはや適切なものではない。発展を継続するため中国が行うべきなのは、これまでよりも柔軟性の高い通貨体制の導入、国営企業の過剰な利益を原資とする形での医療や年金、教育への投資、金融システムの自由化である。中期的には、このポリシーミックスが、世界的規模の不均衡を是正し中国の奇跡の果実を何億もの農村部貧困層や困窮下にある都市移住者へと広めていく上で一助になると思われる。



（英文のPDP10-P-028をRIETIの責任で翻訳したものである）