所有構造とTFP:日本企業データに基づく実証分析

執筆者 権 赫旭  (ファカルティフェロー) /金 榮愨  (専修大学)
発行日/NO. 2010年9月  10-J-050
研究プロジェクト サービス産業生産性向上に関する研究
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概要

本論文では、2000-2005年の『企業活動基本調査』の企業レベル・データを利用して、企業の所有構造をアメリカ企業の子会社、外資系企業(除く、アメリカ企業の子会社)、日本企業の子会社、日本の多国籍企業と日本の独立企業の5つに分けて、外資系企業の生産性が日本企業よりも高いかどうかを検証し、産業全体のTFP上昇と雇用成長に寄与しているかについて調べた。日本の国内企業に比べて、アメリカ系企業や外資系企業のTFPレベル、賃金率や輸出集約度は高いが、資本労働比率や研究開発集約度は高くないという結果を得た。特に、アメリカ企業の子会社のTFPレベルが高く、各産業の生産性フロンティアとのギャップが小さく、総じてパフォ―マンスが最も良いことが分かった。また、外資系企業群と日本の企業群が産業全体の生産性上昇や雇用成長にどれぐらい寄与したかについて分析した。アメリカ系企業を含めた外資系企業が産業全体のTFP上昇と雇用成長に正で寄与していることが分かった。