少子高齢化対策と女性の就業について-都道府県別データから分かること-

執筆者 宇南山 卓  (神戸大学)
発行日/NO. 2010年1月  10-J-004
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概要

都道府県別のデータで観察される結婚経験率と労働力率の正の相関を、次の3つの事実によって説明した。まず第1に、結婚による離職率は、都道府県によって大きく異なるが過去25年で変化していないこと。第2に、晩婚化・非婚化は全国的な現象であるが、その傾向は結婚による離職率が高い都道府県ほど強いこと。そして、第3に、都道府県によらず、女性は20歳前後では未婚状態かつ就業状態にあることである。また、結婚による離職率を説明する要因についても明らかにした。最も重要な要因は、保育所の整備状況であり、育児休業制度や3世代同居率は大きな影響を与えていなかった。晩婚化・非婚化原因は女性の高学歴化と考えられるが、理論的な考察は今後の課題である。