発明者からみた日本の研究開発の課題 -発明者サーベイ自由記述調査から-

執筆者 西村淳一  (一橋大学) /王 亭亭  (一橋大学) /長岡 貞男  (研究主幹)
発行日/NO. 2009年10月  09-J-031
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概要

2007年に(独)経済産業研究所が行った発明者サーベイでは、日本における研究開発の在り方につき「問題点、制約となっている点、そのパフォーマンスを高めるための今後の政策・経営課題等」の自由意見を寄せて頂いた。発明者サーベイに回答して頂いた発明者の約4分の1に当たる約1300名からの意見があり、本稿ではその内容を以下の如く8の主題に応じて詳細に分類整理し、頻度をまとめている。企業経営への意見は、(1)発明者報酬・評価・研究への制約、(2)R&D戦略、(3)商業化能力・知財の活用(4)その他の問題(人材流動性の欠如、研究開発資金の不足など)の4つのカテゴリーに意見を分類し、政策・制度への意見は、(1)研究開発への支援制度・規制、(2)特許制度-審査制度・権利保護・国際化・情報の開示-、(3)大学・国立研究所の役割(4)その他の問題(中小企業・個人発明家に対する支援)に分けている。また、分野ごとの代表的なコメントも紹介しており、その中には今後の研究開発制度のあり方を検討する上で重要なヒントとなる具体的なコメントも存在している。発明者が所属する組織の類型や部署によって発明者の意見の分布は多少異なるが、頻度の高いコメントの多くは共通性が高かった。