日本の原子力政策の変遷と国際政策協調に関する歴史的考察:東アジア地域の原子力発電導入へのインプリケーション

執筆者 相樂 希美  (前上席研究員)
発行日/NO. 2009年9月  09-P-002
ダウンロード/関連リンク

概要

原子力ルネサンスと呼ばれる世界的な原子力発電回帰の動きが近年高まっている。東アジア地域においても、日・中・韓・台湾で既に90基の原子炉が稼働しているのに加え、インドネシア、ベトナム、タイ等新興国でも7~13年後を目途に原子力発電の導入計画が進展している。原子力関連政策は、国内のみならず世界全体で、導入計画段階から稼働後の安全規制まで俯瞰的な視野で取り組むべき課題に発展している。このような状況の下、国際機関、サブグローバル・地域、二国間等の様々な階層で、原子力関連の国際政策協調が活発に進展している。本研究では、東アジア地域に焦点を絞り、第1章では原子力発電導入機運の高まりについて概観するとともに、第2章では、1950年代から現在までを対象に、日本の原子力発電基盤の構築と核不拡散・原子力安全に関する国際議論から受けた影響、近隣アジア諸国との政策協力の歴史について整理を試みた。第3章では、それらを踏まえ、東アジア地域における原子力発電に関する政策協調の可能性と日本に求められる役割について考察を行った。