執筆者 |
八田 達夫 (ファカルティフェロー) |
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発行日/NO. | 2009年6月 09-J-011 |
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概要
本稿は、地点料金制の下で、通り抜け区域の電力会社に対して周辺の電力会社が通り抜けのコストをどのように精算すべきかを考察する。
まず、電力会社間の融通送電従量料金を、新規参入者や大口の需要家が電力会社に対して支払う送電料金と全く共通の原理で課金すれば、各電力会社の料金収入を、その電力会社の送電ロスとちょうど見合うようにすることができることを示す。その場合、全国的な観点から最も効率的に送電ロスをコントロールすることができることも示される。
さらに、基本料金に関しても、通り抜け区域の電力会社に対して、周辺の電力会社を通常の注入者や引き出し者と同等とみなして課金することにより、建設インセンティブを担保できることを示す。この場合、「注入固定料金は上流区域で他区域より高く設定し、引き出し料金は下流区域で他区域より高く設定する」という北欧で採用されている固定料金の形が、通り抜け区域の送電線建設費の負担の軽減の観点からも望ましいことが示される。