ソフトウェア産業の重層的下請構造:イノベーションと生産性に関する実証分析

執筆者 峰滝和典  (関西大学ソシオネットワーク戦略研究機講) /元橋 一之  (ファカルティフェロー)
発行日/NO. 2009年1月  09-J-002
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概要

本稿においては、企業活動基本調査と特定サービス産業実態調査の接続データを用いて日本のソフトウェア産業の生産性に関する分析を行った。ソフトウェア企業を同業者との間の受発注に関するデータを用いて、「独立型」、「元請型」、「中間下請型」、「最終下請型」の4つのタイプに分類して、全要素生産性の比較を行った。その結果、「独立型」ソフトウェア企業の生産性は、他のタイプ、すなわち、元請→中間下請→最終下請と重層的なソフトウェア産業を構成する企業よりも高いことが分かった。また、パテントやR&Dで見たイノベーション活動や従業員に占めるSE比率やプログラマー比率などの人材の質に関するファクターが生産性に与える影響についても分析を行った。その結果、イノベーション活動については特に元請型企業において、人材の質については独立型企業において、生産性の決定要因として重要であることが分かった。