援助配分は貧困削減と整合的か? ドナー間比較

執筆者 澤田 康幸  (ファカルティフェロー) /山田浩之  (International Monetary Fund) /黒崎 卓  (一橋大学経済研究所)
発行日/NO. 2008年12月  08-J-065
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概要

本稿は、ミレニアム開発目標(MDGs)を達成するためにどのような政策の調整が必要かを明らかにするために、1990年代後半および2000年代前半の贈与援助の配分がMDGsの第一目標と整合的だったかどうかを分析した。理論的枠組みとして、我々はBesley and Kanbur(1988)の貧困ターゲッティングモデルを拡張して、複数のドナーやドナー間の戦略的動機を考慮した。理論的な仮説を検証するため、主要ドナー11カ国の贈与と、IBRD、IDA、国連機関を含む6 つの国際機関の援助支出に関する詳細なデータを使用した。実証結果から4つのファインディングが得られた。第一に、1990年代後半および2000年代前半の両期間において、カナダ、フランス、日本、オランダ、イギリスの贈与の配分は、最適な貧困ターゲットの必要条件と一致していた。第二に、人口規模は援助配分に対して負の効果を持っており、戦略的動機が存在することが示唆された。第三に、多国間ドナーに関する結果は概して、その配分パターンは貧困ターゲットの理論と整合的であった。第四に、主要ドナー間で貧困削減に対する協調が進んできたことと整合的な変化が二時点間で観察された。