発明者から見た日本のイノベーション過程:RIETI発明者サーベイの結果概要

執筆者 長岡 貞男  (研究主幹) /塚田尚稔  (リサーチアシスタント/一橋大学経済学研究科)
発行日/NO. 2007年11月  07-J-046
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備考 12月4日改訂

概要

日本経済の今後の成長のために企業、大学等における優れた研究開発とその効率的な商業化が極めて重要であると考えられるが、研究開発の目的・動機、知識源、スピルオーバー、研究開発実施への資金制約、成果活用への制約、発明者の方の動機などについての社会科学的知識は非常に限定されている。研究開発の現場の方からこれらの情報を直接収集することで、日本の研究開発の構造的な特徴への理解を大きく深めると共に、より質の高い政策研究も可能となると考えられる。経済産業研究所では、このような目的に立って、「日本企業の研究開発の構造的特徴と今後の課題」研究プロジェクトの一貫として、日本の研究開発を担って居られる発明者を対象に、その発明とそれをもたらした研究開発プロジェクトについての調査を2007年1月から6月にかけて行った(以下「RIETI発明者サーベイ」)。この結果、5300件に近い回答を得ることが出来た。

本論文は、調査の結果概要を報告する。第2節でRIETI発明者サーベイのねらいと質問票・サンプルの設計を述べる。第3節では調査結果を、(1)回答して頂いた発明者と所属組織のプロファイル、(2)研究開発プロジェクトの目的、動機及び範囲、(3)研究への協力、知識源、外向きのスピルオーバー、(4)研究開発への資源投入と成果、(5)発明の商業化状況、(6) 特許化の動機と未実施の原因、(7)商業的な成功のための条件に分けてその概要を述べる。第4節では、これらを要約する。また付録ではサンプルデータの構築の方法、回収状況などを説明している。