大学が提供する教育・研究に係る競争環境に関する構造的分析

執筆者 土井 良治  (コンサルティングフェロー)
発行日/NO. 2007年8月  07-P-003
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概要

教育再生会議など政府内での議論が深まっている大学改革を巡る課題については、世界最高水準の知を探求する研究のあり方から、定員割れにより支出超過が続く大学の経営問題に至るまで、多次元の論点が存在している。本稿は、国立・公立・私立大学が提供する教育と研究に係る市場全体の構造を俯瞰的にとらえ、有効競争レビューの手法を用いることで、立体的に広がる大学問題の所在と論点を分かり易くかつ構造化して示すことを動機としている。  

本稿I章では上記執筆のねらいを述べ、II章においては、需要(入学者)・供給(大学組織と教員)ギャップの所在から競争環境の相異を整理するとともに、国・公・私立大学の供給構造の特徴と地域的な供給特性を分析した。III章においては、機関補助から競争的・重点的支援へのシフトの政策的意義の確認の後に、機関補助と外部資金についての法人特性・分野特性を分析し、競争的研究資金とインセンティブ構造についての考慮要因を整理した。最後にIV章においては、内外の競争環境の違いを踏まえた上での大学間競争の3層構造の整理と、各々の階層に応じたインセンティブ付与などについて論点整理を行った。