執筆者 |
秋山修一 (釧路公立大学) /細江宣裕 (政策研究大学院大学) |
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発行日/NO. | 2007年7月 07-J-028 |
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概要
これまでの日本の電力市場改革に関する議論においては、電力市場を特徴付ける最も重要な要素の1つである需要の価格弾力性について、たとえば、0.1やゼロといった非常に小さい値が先験的に仮定されてきたが、その仮定の妥当性について検証されたことはほとんどなかった。本稿では、日本国内の電力需要関数を地域別に推定し、電力需要の価格弾力性を計測した。その結果、地域別の価格弾力性は、短期では0.06627から0.32551の間、長期では0.11326から0.69075の間にあり、都市部よりも地方部の方が相対的に高い傾向があることがわかった。先験的に仮定された0.1のような弾力性に関する仮定については、日本全体を集計して考える場合には一定の妥当性はあるものの、この仮定を地域別の分析に当てはめることや、さらに小さい0.01やゼロという値を仮定することには問題があることが示された。