日本企業の金融意識・行動の決定要因―関西企業アンケートに基づく分析―

執筆者 家森信善  (名古屋大学大学院経済学研究科)
発行日/NO. 2007年4月  07-J-016
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概要

2005年6月に、日本の第二の経済圏である関西地域(大阪府、京都府、兵庫県)の企業9000社に対するアンケート調査を実施し2041社から回答を得た。本研究では、日本企業の配当政策、コーポレートガバナンス上の意識、資金調達に関する行動、銀行選択行動などが、上場の有無を含めた企業のどのような属性によって影響を受けているのかを分析した。本研究の特徴は、これまでの企業金融に関する先行研究とは異なり、非上場企業についての多くの情報(バランスシートデータだけでなく、企業系列や主観的な判断などの非バランスシート情報)を含んでいる点である。その結果、連結子会社であることや系列企業グループの一員であることが金融面の行動に大きな影響を与えていることが明らかになった。中小企業の金融行動を分析する場合、企業系列等を考慮する必要があるといえる。また、自己資本比率や企業の規模も重要な企業の金融行動を性格付ける要因であることも明らかになった。