沖縄県企業の相対的な高金利-全国との比較による定量分析

執筆者 安孫子勇一  (近畿大学経済学部)
発行日/NO. 2006年9月  06-J-041
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概要

沖縄県内の貸出金利は全国比1%近く高い状態が続いている。全国規模の大量の企業財務データ(標本数は年50~90 万個)を用いて、その背景を探る。まず、地域別に企業の借入金利を集計すると、計測した6年とも大きな地域差がみられる。企業の個別事情(信用リスクや資金需要等)を考慮してもこの差を説明できないことから、地域別に貸出市場が分断され、沖縄県の金融経済環境が金利に影響したと考えられる。具体的な環境要因としては、地域別の所在銀行数(この数が多いと低金利)、都銀の地域内貸出シェア(このシェアが高いほど低金利)など金融経済環境を示す変数が全国的に影響を与えている。また、信用リスクを高める財務データ等に対して、沖縄では全国よりも概して金利を高める方向で反応している。これらの環境要因(沖縄の所在銀行数が全国一少なく、都銀の県内シェアも下位)と沖縄県の特性の両者により、沖縄の高金利の大部分を説明できる。